以前の記事で触れましたが、国税職員の年度区切りは3月ではなく6月です。6月末に異動の内示があり、7月10日に人事異動が行われます。
このスケジュールを踏まえると、「4〜6月は税務調査が手薄になるのでは」と考える方もいるかもしれません。これは、半分は当たっていると思います。
ただし、「手薄だから安心」というわけではありません。この時期には、この時期なりの調査の進め方があります。
上半期は「数字」、下半期は「件数」
私が現職だった頃に聞いていたのは、調査成績の評価は事務年度の上半期、つまり12月までの事績が重視されるということでした。12月の処理になんとしても間に合わせろと発破をかけられていた記憶があります。
1月以降の調査がまったく評価されないわけではないはずです。ただ、当時よく言われていたのは「上半期は数字が大事、下半期は件数が大事」ということでした。上半期で大きな案件をしっかり仕上げ、下半期は件数を積み上げていくというイメージです。
この評価基準が現在も同様かどうかは分かりません。ただ、調査担当者の行動パターンとして、こうした傾向はある程度続いているのではないかと思っています。
下半期の調査は「研鑽」の側面も
下半期の1〜6月は、足りない件数を補う期間という位置づけでした。案件の見極めは早めにつけて、調査の進め方もあえて変えてみる。ふだんとは違う展開を試すことで、自分の引き出しを増やす。そういう意識で臨んでいたように思います。
スケジュールの面でも、下半期は制約があります。6月末までに調査を終わらせるには、5月のGW明けに着手するのがギリギリのラインです。逆算すると、調査予約は4月中にとっておく必要があります。6月に新規で着手することは基本的にありませんでした。
ただし、近年では少し違う動きも見られます。人事異動後すぐに調査へ着手できるよう、前任の体制のうちに6月中から、異動後の調査予約をあらかじめとっておくケースが増えている印象です。引き継ぎをスムーズにするための工夫なのだと思います。
上半期に着手しやすい決算期
上半期の7〜12月に着手する法人の決算期は、やはり3月が多くなります。申告から数か月経って資料が揃い、調査の段取りも組みやすいからです。
一方、10月決算や11月決算の法人は、上半期に着手するにはやや遅い印象があります。
たとえば10月決算の法人に7月に調査予約を入れ、10月末までに終われば問題ありません。しかし11月以降にずれ込むと、やりづらさが出てきます。調査中に進行事業年度の決算が締まると、前期の指摘事項はそこに取り込まれてしまうからです。いわゆる期ズレの指摘がしにくくなります。
もちろん、10月決算や11月決算だから調査がまったくないとは言えません。下半期に着手されることもあるでしょう。ただ、税務署の調査スケジュールから見ると、少しやりづらい決算期ではあるのかなと感じます。決算期を選べる状況にある法人であれば、こうした事情も頭の片隅に入れておいてよいかもしれません。

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