給与の仕訳、教科書的なやり方とクラウド会計向きのやり方

社会保険

給与を支給したときの仕訳には、大きく分けて2つのやり方があります。

1つは、給与の総額を計上し、天引きした社会保険料や税金をそれぞれ預り金として処理する方法です。簿記の教科書で学ぶのはこちらです。

もう1つは、手取り額で給与を計上し、天引き分は振替伝票で別途処理する方法です。freeeなどのクラウド会計ソフトで「自動で経理」機能を使う場合、こちらのほうが相性が良いことがあります。口座の実際の入出金に合わせて仕訳を切れるためです。

以下、同じ金額例を使って両方を見ていきます。

前提とする金額

説明のための仮の金額です。

総支給額:300,000円

天引き項目は次のとおりです。健康保険料(本人負担)15,000円、厚生年金保険料(本人負担)27,000円、子ども・子育て支援金(本人負担)350円、住民税10,000円、源泉所得税7,650円。社会保険料の本人負担分は合計42,350円です。

差引支給額(手取り):240,000円

社会保険料の会社負担分は、本人負担分と同額の42,350円とします。なお、子ども・子育て支援金は健康保険料とあわせて徴収されるため、実務上は健康保険料に含めて処理する場合もあります。ここでは仕組みが分かるよう、あえて分けて記載しています。

方法1:総額で計上する

教科書的なやり方です。給与支給時に総額を計上し、天引き分はそれぞれ預り金で処理します。

給与支給時

借方科目金額貸方科目金額
給与手当300,000預り金(健康保険料)15,000
預り金(厚生年金保険料)27,000
預り金(子ども・子育て支援金)350
預り金(住民税)10,000
預り金(源泉所得税)7,650
普通預金240,000

社会保険料の納付時には、預り金を取り崩し、会社負担分を法定福利費として計上します。

社会保険料の納付時

借方科目金額貸方科目金額
法定福利費(健康保険料)15,000普通預金84,700
法定福利費(厚生年金保険料)27,000
法定福利費(子ども・子育て支援金)350
預り金(健康保険料)15,000
預り金(厚生年金保険料)27,000
預り金(子ども・子育て支援金)350

住民税と源泉所得税も、納付時にそれぞれ預り金を取り崩して処理します。

方法2:手取りで計上する

口座振込の金額をそのまま仕訳にする方法です。

給与振込時

借方科目金額貸方科目金額
給与手当240,000普通預金240,000

これだけでは天引き分が計上されていないため、振替伝票で処理します。

振替伝票

借方科目金額貸方科目金額
給与手当60,000法定福利費(健康保険料)15,000
法定福利費(厚生年金保険料)27,000
法定福利費(子ども・子育て支援金)350
預り金(住民税)10,000
預り金(源泉所得税)7,650

社会保険料の口座振替時には、本人負担分・会社負担分をあわせた全額を法定福利費で処理します。

社会保険料の納付時

借方科目金額貸方科目金額
法定福利費84,700普通預金84,700

この方法では、振替伝票で社会保険料の本人負担分を法定福利費の貸方に計上し、納付時に全額を借方に計上しています。差引すると、法定福利費に残るのは会社負担分の42,350円だけです。最終的な損益は方法1と同じになります。

どちらを選ぶか

経理処理としてはどちらも正しいです。

方法1は、預り金の残高を見れば未納額がすぐに分かります。天引きした金額をきちんと負債として管理できるという意味で、オーソドックスな方法です。

方法2は、口座の入出金と仕訳が1対1で対応するため、クラウド会計の自動仕訳との相性が良いです。銀行口座を連携しているなら、振込額をそのまま給与として取り込めます。

開業して初めて方法2を知りました。簿記の教科書には出てこないやり方なので、実務で見たときは少し意外でした。

タイトルとURLをコピーしました