税理士国保について――全国の税理士が入れる制度ではありません

社会保険

私は、府中市の国民健康保険に加入しています。一方で、税理士には税理士国保というものがあるらしいという話を耳にしていました。名前を知っているだけで中身は知りません。この機会にどういう制度なのかを調べてみることにしました。

最初に分かったのは、これが全国の税理士が加入できる制度ではないということです。

存在するのは二つの組合だけ

存在するのは、関東信越税理士国民健康保険組合と近畿税理士国民健康保険組合の二つです。関東信越の組合も、税理士業務に従事する人を対象とした国保組合は全国でこの二つのみだと説明しています。

東京税理士会の会員向けの税理士国保はありません。私は府中市で開業していますので、この制度は最初から選択肢に入りません。漠然と東京にも同じものがあるのだろうと考えていましたが、ありませんでした。

加入条件は事務所と自宅の両方にかかる

関東信越の組合に加入できるのは、関東信越税理士会の会員である税理士と、その事務所の職員、および家族です。事務所の所在地は茨城、栃木、群馬、埼玉、新潟、長野の6県に限られます。さらに、組合規約で定める地区内に自宅住所があることも必要です。

近畿の組合も、近畿税理士会の会員であることに加えて、指定地区内に住民票の住所があることを求めています。指定地区は大阪、京都、兵庫、奈良、和歌山、滋賀と、三重県の伊賀市および名張市です。

事務所の場所だけでも、住所だけでも足りません。

保険料は定額。ただし一人ずつかかる

市区町村の国保は、前年の所得に応じた所得割と、加入人数に応じた均等割などを合算して決まります。税理士国保は所得と関係なく定額です。

関東信越の組合の場合、令和8年4月分保険料から、税理士である組合員の保険料は医療分3万円、後期高齢者支援金分5,200円、子ども・子育て支援金分800円の合計36,000円です。40歳から64歳の方は介護納付金分6,200円が加わり、42,200円になります。いずれも月額です。

家族は一人あたり医療分1万円が基本で、6歳以上は支援金分5,200円が加わります。所得が高い人にとって定額制は有利に働きやすい一方、家族が多いほどその効きは薄れます。

関東信越の組合では、令和8年3月分までは家族の保険料は1世帯4人までの賦課でした。令和8年4月分からは人数の上限なく賦課されます。世帯ごとの賦課限度額は月額9万円です。

協会けんぽの扶養とは考え方が違う

協会けんぽには被扶養者という仕組みがあり、家族を扶養に入れても保険料は増えません。税理士国保にこの仕組みはなく、加入する家族の人数分だけ保険料がかかります。

もう一つ、所得補償の違いがあります。協会けんぽには傷病手当金と出産手当金があります。病気やけがで働けない期間や、産前産後の休業期間の収入を補う給付です。国民健康保険では、これらは法律上の任意給付とされ、実施するかどうかは保険者の判断に委ねられています。

関東信越の組合の給付一覧には、出産育児一時金、葬祭費、入院給付金、産前産後休業給付金などが並びます。傷病手当金は掲載されていません。産前産後休業給付金は組合独自の給付で、名称は似ていますが、協会けんぽの出産手当金と同じ制度ではありません。

比べるときに見る項目

組合独自の上乗せもあります。関東信越の組合では、出産育児一時金が税理士本人の場合70万円です。法定給付の50万円に、組合独自の加算金20万円が上乗せされています。

職員を雇う場合は別の論点も出てきます。関東信越の組合では、個人事務所であれば、勤務税理士や職員とその家族の保険料の半額を事業主が負担する扱いになっています。

保険料の額だけを並べても判断はできません。家族の人数、年齢による介護納付金分の有無、組合独自の給付、事業主としての負担。これらを住んでいる市区町村の国保と並べて、はじめて比較になります。

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