昨日は税理士国保のことを書きました。

税理士専用の健康保険があるなら、年金のほうにも専用の制度があるのではないか。そう思って調べてみました。
専用の基金はかつてあった
かつては「日本税理士国民年金基金」というものが存在しました。職業ごとに作られた、職能型の国民年金基金の一つです。
ただし現在は、独立した基金としては存在していません。2019年4月に、全国47都道府県の地域型基金と22の職能型基金が合併し、「全国国民年金基金」になりました。日本税理士国民年金基金も、この合併に加わっています。
合併に加わらず単独で存続した職能型基金は3つです。歯科医師、司法書士、弁護士の各基金です。税理士は残りませんでした。
合併の理由としては、加入員の利便性向上と事業運営基盤の安定などが挙げられています。職業別の小さな単位で運営を続けることが難しくなっていた面もあると考えられます。
いま入れるのは全国国民年金基金
したがって、税理士が国民年金基金に入る場合の窓口は全国国民年金基金になります。加入資格は職業ではなく、被保険者の種別で決まります。国民年金の第1号被保険者であることが基本です。
つまり、独立した税理士であれば入れます。ただし、税理士だから有利という要素はもうありません。
名前の似た「日本税理士企業年金基金」は別の制度
ここで紛らわしいのが「日本税理士企業年金基金」です。名前は似ていますが、まったく別の制度です。
こちらは確定給付企業年金、いわゆる企業年金にあたります。対象は税理士業務を主たる業とする事業所などで、掛金は全額を事業主が負担します。加入手続きでは、社会保険の適用を示す書類の提出が求められています。
要するに、厚生年金に加入している事務所の役員や職員のための制度です。従業員のいないひとり税理士が、個人事業主の立場で入れるものではありません。名前が似ているだけで、入口がまったく違います。
国民年金基金とiDeCoは枠を分け合う
第1号被保険者が上乗せに使える制度としては、国民年金基金とiDeCoがあります。
大きな違いは受け取り方です。国民年金基金は給付額があらかじめ決まっており、終身で受け取る型を選べます。iDeCoは自分で運用し、結果によって受取額が変わります。
条件が決まるタイミングも違います。国民年金基金は加入した時点の予定利率で給付が固定されます。あとから環境が変わっても、決まった額は動きません。iDeCoはその逆で、運用環境の変化がそのまま受取額に反映されます。
税金の扱いも異なります。国民年金基金の掛金は社会保険料控除、iDeCoの掛金は小規模企業共済等掛金控除です。いずれも全額が所得控除の対象になる点は共通しています。
注意したいのは拠出枠です。両者の掛金は合算され、月6万8000円が上限とされています。片方を多く使えば、もう片方の枠は減ります。また、国民年金基金に入ると付加保険料は納められません。
流動性はどちらも低い制度です。国民年金基金は原則として任意脱退ができず、iDeCoも原則60歳まで引き出せません。
私は国民年金基金を使っていません
最後に自分の話です。私は国民年金基金には加入していません。公務員だった時期にiDeCoを始め、退職して第1号被保険者になったあともそのまま続けています。公務員退職後のiDeCoについては、以下の記事に書きました。

したがって、月6万8000円の枠は丸ごとiDeCoに使える状態にあります。ただし実際には上限まで使っていません。いま手元の資金を長期間動かせない場所に移すことのほうが、独立して間もない身には重いと考えています。
なお、この上限は2026年12月1日施行予定の改正で、月7万5000円に引き上げられる見込みです。実際に掛金へ反映される時期については、施行時期の情報を改めて確認する必要があります。
