妻が今年の税理士試験で簿記論と財務諸表論を受けました。結果が出るのは11月27日の合格発表です。ただ、来年は税法科目に進むつもりでいるようで、今は科目選びと予備校選びを同時に考えている最中です。
そんな中で見つけてきたのが、LEC東京リーガルマインドの奨学生試験でした。
2027年合格目標のコースを対象に、試験の得点に応じて受講料が割引になる制度です。公表されている割引率は、100〜90点で60%、89〜60点で40%、59〜40点で30%、39点以下で20%。受けさえすれば20%は下がる設計です。税法科目のコースも対象に含まれています。
定価の時点で10万円安い
割引率が大きくても、元の値段が高ければ意味がありません。そう思って法人税法の受講料を調べたところ、想像と違いました。
LECの法人税法パーフェクトコース(Web)は一般価格149,600円、全75回です(2026年合格目標の数字)。これに対して大原の初学者一発合格コースはWeb通信で256,000円、TACの基礎マスター+上級コースは235,000円前後。差は10万円前後あります。しかも大原とTACには、受講料とは別に入学金がかかります。
さらに、大原には講義映像のない教材だけの「資料通信」があり、2027年対策で180,000円です。LECは講義が付いていて、それより安い。ここまで来ると、値引きが上手という話では説明がつきません。
安い理由と、削られているもの
理由はいくつか考えられます。
ひとつは固定費のかけ方です。大原は学校法人で全国に校舎を持ち、専任講師を多く抱えています。TACも同じように教室クラスを開いています。教室を開けば、家賃も講師の拘束時間も受付人員も原価に乗ります。LECの税法科目は実質的にWeb中心で、校舎を回す前提で値付けをしていません。
もうひとつは、税理士講座がLECの本業ではないことです。収益の柱は司法試験や公務員、宅建といった他分野で、税理士講座は後発かつ小規模です。普通に考えれば、受講生が少ないほど教材開発費を回収しにくく、単価は上がるはずです。それが逆に安いということは、原価を積み上げて価格を決めているのではなく、まず選んでもらうための価格を先に置いていると見るのが自然です。Web配信や答案の採点管理といった土台を他資格と共用できるので、講座をひとつ増やす追加コストが小さいという事情もあります。
そして、削られているサービスも確かにあります。質問対応はメール中心で、回答まで5〜10日程度、電話での質問は受け付けていません。答案は送って採点結果をWebで見る形式で、原本の返却は別料金のようです。
税法で効いてくるのは母集団の大きさ
価格差より効いてくる可能性があるのは、ここだと思います。
税理士試験は合格率がおおむね一定の幅に収まっており、事実上、受験者の中での相対的な位置で合否が決まります。そうすると、自分が今どのあたりにいるかを測る手段は、答練と模試の順位しかありません。受講生の多い学校では、順位や平均点がそのまま本試験での位置の目安になります。母集団が小さければ、同じ「上位20%」でも意味の重みは変わってきます。
法人税法は理論の記述が合否を分ける科目だと思っています。多くの受験生が同じ表現で書いてくる論点を外すと、相対評価の中で沈みます。多数派の答案を再現しやすいのは、やはり受講生の多い学校です。これは教材の優劣ではなく、シェアそのものが持っている価値だと言えます。
割引の期限は、合格発表より2か月早い
制度の設計で気になったのは期限です。9月13日実施の回であれば、割引が使えるのは2026年9月30日まで。簿財の合格発表は11月27日ですから、自分が受かったかどうかを知らないまま、税法科目のコースを申し込むかどうかを決めることになります。申込ができるのは受験した校舎のみ、適用は1コースのみ、他の割引との併用もできません。割り切った作りです。
私は、無理はしなくていいと思っています。子どももまだ小さく、最後までやり遂げないと払ったお金が無駄になる、という考え方は取らないつもりです。辛くなったらいつでもやめていい。ただ、本人が勉強したい、受験したいと言うのであれば、そこは応援したい。奨学生試験を受けに行くこと自体は、決めるための材料を増やす行為なので、止める理由はないかなと思っています。
