国税専門官採用試験の一次は1.1倍――令和8年度の数字と、税理士10年免除というルート

国税職員

令和8年8月12日、人事院から令和8年度(2026年度)国税専門官採用試験の最終合格者が発表されました。数字を並べます。

申込者は9,693人。第一次試験を受験したのは6,679人。第一次試験の合格者は5,811人。第二次試験を受験したのは4,790人で、最終合格者は3,385人でした。区分別では、国税専門Aが3,291人、国税専門Bが94人です。

倍率は、どの人数を分母に置くかで変わります。申込者を基準にすると2.9倍。第一次試験の受験者を基準にすると2.0倍。そして第一次試験だけを取り出すと、1.1倍になります。

一次1.1倍という数字

私が国税専門官採用試験を受けたのは平成20年度です。当時の正確な倍率は手元にありませんが、筆記でそれなりの人数が落ちる試験だという感覚は残っています。筆記と面接を合わせて5倍から6倍程度はあったように記憶しています。あくまで記憶であって、確かめた数字ではありません。

その記憶と比べると、一次1.1倍はほとんど別の試験に見えます。受験した6,679人のうち5,811人が通っています。落ちたのは868人です。筆記でふるいにかける試験ではなくなっている、と言ってよいと思います。この数字を見たときは、素直に驚きました。

併願の受け皿になっている

この数字は、落ちた868人ではなく、通った5,811人のほうを見たほうが実態に近いと思います。国税専門官の筆記には会計学のように他の公務員試験ではあまり出ない科目も含まれますが、基礎能力試験の部分や、憲法・行政法・経済学といった専門科目は他試験と重なります。国家一般職や地方上級の準備をしている人にとって、上乗せの負担はそれほど大きくありません。

申込者9,693人のうち、第一次試験に来なかったのは3,014人です。約3割が当日欠席しています。申し込んだ時点では選択肢の一つとして押さえておき、本命の状況を見て来なかった人が多いのだろうと思います。

そして、来た人の中にも同じ層が相当含まれているはずです。併願先の一つとして受けてみたら通っていた、という人が一定数いる。一次1.1倍という数字は、そういう受け方が成り立つ試験になったことを示していると思います。

数字が動くのは一次のあと

一次合格者5,811人に対し、第二次試験を受けたのは4,790人でした。1,021人が来ていません。この間に本命の結果が出て、そちらを選んだ人が多いのだろうと思います。

第二次試験を受けた4,790人のうち、最終合格は3,385人。1,405人が落ちています。人物試験の配点比率は小さくありません。筆記が緩んだ分だけ、面接の比重が実質的に上がっています。

さらに、最終合格は採用の内定ではありません。合格者は採用候補者名簿に記載され、各国税局等の採用面接を経て採用が決まります。令和8年度の採用予定数は国税専門Aが1,000人、国税専門Bが100人です。最終合格者3,385人との差は小さくありません。

税理士を目指す人にとっての意味

税理士法では、国税に関する事務に一定期間従事した人について、試験科目の免除が定められています。国税専門官として採用された場合、原則として通算10年の従事で、税法に属する科目の免除を受けられます。実務上は税法3科目が免除される形になります。私自身もこのルートを通りました。

一方、全科目免除は「23年勤めればよい」という話ではありません。従事期間が通算23年以上あることに加えて、管理・監督にあたる職など財務省令で定められた職に通算5年以上在職していること、さらに国税審議会が指定した会計学に関する研修を修了していることが必要です。この三つがそろって会計学の科目免除になります。採用の区分によっては、年数が15年、28年になります。年数だけの制度ではない点は押さえておいたほうがよいと思います。

大学院で認定を受けるルートと比べると、お金の出入りの向きが逆になります。大学院は入学金と授業料が先に出ていきます。国税のルートは、勤めながら年数が進みます。ただし10年です。20代前半で採用されても、免除の申請ができるのは30代半ばです。その10年をどう見るかで、選択は分かれると思います。

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