定期借地権付きマンションの増加と税金について

税金全般

9月15日付の朝日新聞に、定期借地権付きマンションが都心で増えているという記事が出ていました。都心で見かける機会が増えたと感じている方もいると思います。

通常のマンションと主に税金の扱いがどう違うのかを中心に、個人と法人に分けて整理したいと思います。

そもそも何が増えているのか

定期借地権付きマンション(以下、定借マンション)は、期限付きで借りた土地の上に建つマンションです。買った人が持つのは部屋と、土地を使う権利です。土地そのものは持ちません。

借りる期間は50年以上で、最近は70年とする例が目立ちます。期間が終わると建物を解体し、更地にして地主に返します。

共同通信の報道によると、不動産経済研究所の調べで、2025年の首都圏の定借マンションの販売数は1502戸でした。それまで最多だった2008年の1281戸を大きく上回っています。

背景は地価の上昇です。価格は周辺相場より1〜2割ほど安いとされます。土地を仕入れにくい開発業者にとっては、借りる形なら好立地を確保しやすい。地主にとっては、土地を売らずに収入を得られる。売り手側にも理由がある仕組みです。

土地代の払い方で、税金も変わる

定借マンションでは、土地を借りる対価の払い方にいくつか型があります。代表的なのは、返ってこない一時金である権利金、期間満了時に返ってくる保証金、地代をまとめて先に払う前払地代の3つです。これに毎月の地代と、解体に備えた積立金が加わります。

税金の計算では、この区分が大事だと思っています。同じ「購入時に払ったお金」でも、何に当たるかで扱いが変わるからです。販売価格の総額だけを見ていると、この違いは見えません。

個人で住む場合に押さえておきたいこと

まず、土地の固定資産税はかかりません。土地の持ち主ではないからです。その代わりに地代を払います。自宅であれば、地代も解体積立金も、所得税の計算上は費用になりません。

次に住宅ローン控除です。販売資料の中には、控除の対象を「販売価格から前払地代を除いた部分」と明記しているものがあります。前払地代は土地を借りる代金の先払いであり、住宅を買う代金ではないという整理だと考えられます。

売却時にも違いがあります。土地を使う権利(借地権)は、残りの期間が短くなるほど市場での値段が下がりやすいとされます。一方で、所得税の計算では、借地権は減価償却をしません。取得したときの金額がそのまま原価として残るため、売却すると損が出やすい構造です。自宅の売却損は、一定の要件を満たす場合を除き、ほかの所得と相殺できません。

最後まで住み続けた場合も同じです。建物を壊して更地で返しても、自宅であれば、その損失は税金の計算に表れません。

個人的には、「期間が終われば何も残らない」ことよりも、「目減りしていく権利を、税金の計算では目減りさせてもらえない」ことのほうが、実感とずれやすいと感じました。

なお相続では、借地権の評価額は残りの期間に応じて小さくなる仕組みです。評価が下がる一方で、引き継ぐものも期限付きだということです。

法人で持つ場合は「いつ費用になるか」が論点

法人が社宅や賃貸用に取得する場合、論点は、払ったお金がいつ費用(損金)になるかです。地代は、事業の用に供している限りにおいて損金の額に算入されます。

権利金として払った部分は、一般に土地と同じ扱いで、減価償却できません。期間の途中では費用にならず、多くの場合、期間満了で権利がなくなった時点で損失として処理します。前払地代は、期間の経過に応じて少しずつ費用にしていく考え方が示されています。保証金は返ってくるお金なので、原則として資産のままです。

建物は減価償却できますが、中古で取得した場合は注意が必要です。借地の残り期間が、建物の償却期間より短いことがあるからです。その場合、帳簿に金額が残ったまま解体を迎え、最後にまとめて損失になる可能性があります。耐用年数を短くする手続きが使えるかは、個別の判断になります。

解体積立金を払ったときに費用にできるかも、積立ての仕組みや返還の有無によって扱いが分かれると考えられます。

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