実家に眠っていたゴルフ会員権どうするか問題

所得税

先般、実家に帰省した際に、終活の一環として父からゴルフ会員権の相談を受けました。もうゴルフ場には行かないので、どうにかしたいという話です。

税務上の取り扱いや会計処理は一通り頭に入っているつもりです。ただ、手元の会員権を実際に処分するとなると、話は別でした。会員権の中身、ゴルフ場との手続、売れるかどうか。ここは書類を並べて、一つずつ確認するしかありません。

父の会員権は、もとは別の会社が入会したものです。入会時に、ゴルフ場へまとまった金額を預けています。父はこれを20年ほど前に、業者を通じて、預託金を大きく下回る価格で買いました。預託金は、まだ何年も先にならないと返してもらえない約束です。

会員権は「使う権利」と「預けたお金」のセット

預託金制のゴルフ会員権は、二つの権利でできています。ゴルフ場を会員として使える権利と、入会時に預けたお金を将来返してもらう権利です。預けたお金は、一定の据置期間(返還を求められない期間)が過ぎた後、退会を条件に返す仕組みが一般的です。業者から買うというのは、この二つをまとめて前の会員から引き継ぐことです。

売れない、退会すると返らない

業者に売ればいい、と最初は考えていました。ところが、このゴルフ場は現在、名義変更を受け付けていません。これでは買い手がいても引き継げず、事実上、いまは売れません。

ゴルフ場に電話で問い合わせると、「今退会すると、預けたお金は返ってこない」との回答でした。据置期間中の退会では返さないという意味だと理解しています。ただ、いつ退会しても返さないという意味なら、預託金という仕組みと矛盾します。どちらなのかは、書面で回答を求めたいと思っています。

退会届の用紙は実家に送ってもらいましたが、届いても記入しないよう家族に頼んでいます。退会届には「預託金の返還請求権を放棄する」といった一文が入っていることがあるからです。多くの場合、権利を失う原因になるのは、会則よりも署名した書面のほうです。

個人的には、預けたお金が返ってくるとはあまり思えないので、退会で片付けるか、若しくは年会費1年分を払って確認の時間を確保するかを今後検討したいと思います。

税金の扱いは、手放し方で変わる

個人が持つゴルフ会員権は、手放し方によって税金の扱いが分かれます。

一つ目は、業者に売る場合です。売却益は譲渡所得として、ほかの所得と合わせて課税されます。取得費には、購入価額のほか、業者への手数料や名義書換料も含まれます。5年を超えて持っていれば長期の扱いとなり、特別控除50万円を差し引いた後の半分が課税対象です。一方、売却損が出ても、2014年4月以降の譲渡分は、ほかの所得と相殺(損益通算)できません。

二つ目は、据置期間の満了後に退会して、預託金を返してもらう場合です。国税庁の質疑応答事例では、これは譲渡ではなく、貸したお金を回収する行為と整理されています。額面より安く第三者から買った人が、取得価額以上の返還を受けた場合、その所得は雑所得になるとされています。父の場合、仮に全額が戻れば、買った価格との差額がおおむね雑所得になる計算です。

三つ目は、返してもらえないまま退会する場合です。この損は「家事上の損失」とされ、所得税の計算では考慮されません。

もう一つ、会員のまま亡くなった場合の相続税の評価があります。取引相場のない預託金制の会員権は、一般に、返還を受けられる預託金の額をもとに評価し、返還が先であれば一定の利率で割り引きます。ここでも、死亡時の扱いを定めた会則の中身が評価額に関わります。

税務より先に、会則を確かめる

税金の計算そのものは難しくありません。難しいのは、前提となる事実が確定しないことです。売れるのか、いつ返るのか、死亡時はどうなるのか。どれも会則とゴルフ場の回答次第です。

会則の冊子は実家にも残っていなかったので、今後、ゴルフ場からの書面回答を求めようと思っています。

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