海外から国際郵便で申告書を送ると、消印の日に提出したことになるのか

税金全般

税務署に出す書類は、原則として届いた日が提出日になります。例外が国税通則法第22条で、申告書などを郵便または信書便で出した場合には、消印に表示された日に提出があったものとみなされます。いわゆる消印有効です。

平成18年度の改正で、この例外の対象が広がりました。申告書とその添付書類に加えて、国税庁長官が定める書類も発信主義に取り込まれています。告示の作り方は限定列挙ではありません。提出期限の定めがある申請書や届出書をまず発信主義とし、後続の手続に支障が出るものだけを別表で除く、という引き算の形です。届出書の数でいえば、発信主義のほうが多数派です。

到達主義のまま残っているものは限られます。一つは、提出期限に具体的な定めがない書類です。消費税課税事業者届出書、法人の納税地の異動に関する届出書、納税管理人の届出書などが当たります。いずれも「速やかに」「遅滞なく」といった書き方で、期日が切られていません。もう一つは、税務署以外に出す書類です。給与所得者の扶養控除等申告書のように勤務先へ提出するものが典型です。国税徴収法上の各種請求書や申出書も、審査の時間を確保する必要から到達主義とされています。

消費税の届出書は対比が分かりやすいところです。課税事業者選択届出書は「課税期間の初日の前日まで」という期限があるので発信主義。課税事業者届出書は「速やかに」なので到達主義です。同じ消費税の届出書でも扱いが分かれます。

ただし広がったのは、対象となる書類の範囲です。何を「郵便」とみるかは別の話です。そして22条にいう「郵便」について、通則法自身は定義を置いていません。

「郵便」を郵便法と同じ意味に読んだ裁決

平成25年7月26日の裁決があります。確定申告書をゆうメールで送り、期限の翌日に税務署へ届いたため、無申告加算税を課された事案です。

審判所は、22条が到達主義を緩めた理由を二つ挙げました。郵便や信書便は郵便法・信書便法の規定に従って配達されるため、配達されずに紛失する可能性が相当に低いこと。もう一つは、納税者と税務署との地理的な距離の差から生じる不公平を是正する必要があることです。そのうえで、通則法の「郵便」「郵便物」を郵便法と別の意味に解すべき事情は認められないとして、郵便法上の郵便物に当たらないゆうメールには22条の適用がないと判断しました。

郵便法は、郵便の業務は日本郵便株式会社が行うと定めています。22条は、日本郵便が郵便法に基づいて引き受けた郵便物を前提に組み立てられている、というのが裁決の読み方です。

国外から出すと前提が崩れる

この枠組みを国際郵便に当てはめると、二つ引っかかります。

一つは、差出しを引き受けたのが外国の郵便事業体だという点です。日本国内での配達は日本郵便が担いますが、発信主義が見ているのは差し出した時点です。国内の配達段階が郵便法の枠内にあることは、直接の答えになりません。

もう一つは、消印が外国のものになる点です。22条は、その郵便物の通信日付印により表示された日、と書いています。ここに外国の消印が含まれるのかは、条文からは読み取れません。

なお22条には、消印の表示がないときなどは通常要する送付日数を基準として相当と認められる日をとる、という補いのルールもあります。ただしこれは22条の適用があることが前提です。前提が崩れれば出番がありません。

国税庁の見解は見当たらない

海外から国際郵便で出した場合の扱いについて、国税庁が公表した見解は、確認した限り見当たりませんでした。条文に「国外からの郵便には適用しない」と書かれているわけでもないので、適用の余地が皆無とまでは言えません。ただ、争いになったときに説明を求められるのは納税者の側です。期限ぎりぎりに国外から投函し、外国の消印を根拠に期限内申告だと主張するのは、筋が悪いような気がします。

実務は到達主義で組む

確実なのはe-Taxです。ただしe-Taxは発信主義ではありません。国税庁の受付システムのファイルに記録された時に到達したものとみなされます。期限内に送信が完了していれば足ります。

非居住者であれば、納税管理人を定めて国内から提出してもらうのが本来の筋です。ただし納税管理人の届出書そのものは、先に挙げたとおり到達主義です。国外から郵送する場合、この届出書は消印の日では判定されません。

国内の関与先や親族に書類を送り、日本国内で投函してもらう方法もあります。この場合は日本郵便の消印が付きますので、22条の適用に疑義は生じません。

やむを得ず国外から送るのであれば、到達日を期限とみて逆算し、追跡できる方法で十分な余裕をもって発送することになります。

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