令和8年4月17日、国税庁(e-Taxサイト)から「防衛特別法人税の創設に関するご案内・留意事項について」が公表されました。令和8年4月1日以後に開始する事業年度から、新たに「防衛特別法人税」の申告が必要になります。今回の案内は、その申告手続や納付方法に関する当面の取扱いをまとめたものです。
そもそも防衛特別法人税とは
令和7年3月31日に公布された「所得税法等の一部を改正する法律」により、「我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法」(いわゆる防確法)が改正され、防衛特別法人税が創設されました。
対象となるのは、各事業年度の所得に対する法人税を課される法人です。つまり、通常の法人税を納めている法人は原則としてすべて、この防衛特別法人税の納税義務者となります。
適用は令和8年4月1日以後に開始する事業年度からです。3月決算法人であれば、令和9年3月期(令和8年4月1日開始の事業年度)が最初の対象事業年度ということになります。
税額が0円でも申告書の提出は必要
今回の案内で特に注意したいのが、防衛特別法人税額が0円であっても申告書の提出は必要とされている点です。
この「税額ゼロでも申告は必要」という建て付けは、かつての復興特別法人税(平成24年4月1日以後に開始する事業年度から3年間課税された法人税の付加税)と同じ構成です。復興特別法人税も、法人税額を課税標準として上乗せ課税する仕組みだったため、基礎となる法人税額がゼロであれば特別税額もゼロになりますが、それでも申告書自体は提出する必要がありました。
今回の防衛特別法人税も、法人税の申告に付随する形で一体的に管理する趣旨だと考えられます。復興特別法人税のときも、税額ゼロで申告を失念するケースが実務上少なからずあったと記憶しています。今回も同じ構図で、「うちは税額が出ないから関係ない」と思い込んで提出漏れが起きるリスクは十分にあると感じました。顧問先への案内段階から、「0円でも申告は必要」という点は明示しておいたほうが安全だと思います。
なお、中間申告書の提出は令和9年4月1日以後に開始する事業年度からとされています。最初の事業年度については中間申告は不要で、確定申告のみが必要となる整理です。
e-Taxの対応スケジュールに注意
e-Taxの受付開始時期についても案内が出ています。令和8年4月1日以後開始事業年度の法人税申告書に係る別表1、別表4、別表5関係については、令和8年5月にリリース予定とされています。
リリース前の別表等については、当面の間、イメージデータ(PDF形式)での提出が可能です。e-Taxで電子データ(XML形式)として送信できるようになるまでは、PDFで対応する形になります。
更正の請求については、令和8年4月から7月までの期間は書面のみの提出となります。8月からイメージデータでの提出が可能になり、XML形式での電子データ提出は令和9年3月リリース予定です。更正の請求を検討している場合は、提出方法と時期の組み合わせに注意が必要です。
当面の納付方法
納付方法は大きく4つの案内が出ています。
1つ目は、e-Taxの「受信通知」から納付する方法です。申告書送信後にメッセージボックスへ格納される受信通知から、ダイレクト納付、インターネットバンキング、クレジットカード納付、スマホアプリ納付が利用できます。
2つ目はグループ通算法人向けの一括ダイレクト機能による納付です。申告区分は「その他」、「法人税(通算)」欄に防衛特別法人税額を入力する運用になります。
3つ目は納付書による窓口納付です。税目番号は「030」(グループ通算法人の場合は「032」)、税目欄に「防衛特別法人税」と記載するよう指定されています。
4つ目は猶予申請やダイレクト分納の手続です。税目は「法人税」または「法人税(通算)」を選び、申告区分は「その他」を選択する運用です。
納税証明書と電子委任状について
e-Taxによる納税証明書の交付請求は、令和9年5月までは書面での対応が必要です。
また、代理人がe-Taxで納税証明書の交付請求を行う際に使用する電子委任状は、令和9年5月から様式変更が予定されています。令和9年5月以降は新様式の利用が求められますので、税理士として代理請求を行う場合は切替時期を押さえておく必要があります。
防衛特別法人税は新しい税目であり、e-Taxの対応や様式整備が段階的に進む過渡期となっています。令和8年5月、8月、令和9年3月、令和9年5月など、切替のタイミングが複数あるため、スケジュール感を整理しておくことが実務上は重要だと感じました。
関連資料として国税庁のパンフレット(令和7年5月公表)や申告書様式も公開されていますので、具体的な税額計算や様式の詳細については、そちらもあわせて確認することをおすすめします。

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