2026年に入り、会計ソフトの大手3社が、そろってAIエージェントへの対応を打ち出しました。freee、マネーフォワード、弥生の3社です。ここでいうAIエージェントとは、人が画面を操作する代わりに、AIが指示を受けて仕事を進める仕組みのことです。
ただし、3社が向かった先は同じではありません。同じAIエージェントでも、狙っているものがそれぞれ異なるように感じました。
freeeとマネーフォワードは会計ソフトの操作を外部AIに開いた
この2社が進めたのは、会計ソフトそのものを外部のAIから操作させる方向です。その土台になっているのがMCPという規格です。MCPは、AIと外部のソフトをつなぐための共通の決まりごとです。この規格に対応すると、ClaudeやChatGPTのようなAIから、会計ソフトの機能を直接呼び出せるようになります。
freeeは2026年3月2日に、freee-mcpを公開しました。誰でも使える形になっており、会計や人事労務、請求書など幅広い機能をAIから操作できます。6月には、専門知識がなくても自社向けのAIを作れる機能も追加しました。freeeは「人が使うソフト」から「AIに任せるソフト」への転換を、方針として前面に掲げています。
マネーフォワード クラウド会計は、2026年3月26日にMCPサーバーを全プランで提供し始めました。クラウド上で動くため、利用者側で難しい設定は要りません。接続の設定だけで使い始められます。7月には、連携した金融機関の明細から仕訳を登録できるようになりました。「3月の旅費交通費を一覧にして」といった日本語の指示で、仕訳の抽出や試算表の確認ができます。さらに、MCPの設定自体を不要にしたサービスも予定されています。
弥生は事務所の運営にAIを向けた
弥生も2026年7月16日に、AIエージェントを出しました。「ZEXT AIエージェントβ版」です。ただし、向いている先が前の2社とは違います。
ZEXTは、弥生が会計事務所向けに提供している業務システムです。顧問先の管理や、事務所の生産性の分析などに使います。今回のAIエージェントは、このZEXTの中で、対話を通じて情報を整理したり、要約したり、レポートを作ったりする機能です。生成AIにはClaudeが使われています。ZEXTの契約者は無償で使えます。
freeeとマネーフォワードが、会計ソフトそのものを外部のAIから操作させる方向に進んだのに対し、弥生は、会計事務所の運営を支えるツールの中にAIを組み込む方向を選んでいます。会計の記帳そのものを外部のAIから操作するMCPの公式対応は、公開されている情報の範囲では確認できていません。
同じ「AIエージェント」でも、会計ソフトを操作させるのか、事務所の分析や資料作りを助けるのか。指しているものが違います。
弊事務所はまず連携を試したい
弊事務所の会計処理はマネーフォワードを使っています。正直なところ、仕訳をAIに任せるほどの量ではありません。自動仕訳で足りている場面がほとんどです。それでも、せっかく対応が進んでいるのですから、MCPの連携は一度試してみたいと考えています。仕訳のためというより、数字を確認したり、資料を作ったりする場面で使えないかを見てみたいところです。
