家に住みながら資金づくり「リースバック」と「リバースモーゲージ」の違い

相続・財産評価

老後の資金づくりの手段として、リースバックやリバースモーゲージという言葉を目にする機会が増えました。どちらも「自宅に住み続けながらお金を手にできる」と紹介されることが多い仕組みです。

ただ、中身はまったく別物です。この記事では、2つの違いと、それぞれの注意点を整理します。

リースバックは「家を売る」、リバースモーゲージは「家を担保に借りる」

いちばん大きな違いは、家の持ち主が誰になるかです。

リースバックは、自宅を業者に売る取引です。売った代金をまとめて受け取り、その後は業者に家賃を払って同じ家に住み続けます。売った時点で、家はもう自分のものではありません。

リバースモーゲージは、自宅を担保にお金を借りる仕組みです。家の名義は自分のまま残ります。生きている間は利息だけを払い、亡くなったあとに家を売って元本を返す形が一般的です。

同じ「住み続けながらお金を得る」でも、片方は売買、もう片方は借入です。この違いが、それぞれの注意点にそのままつながります。

リースバックの注意点:住み続けられる期間に限りがある

リースバックで気をつけたいのは、売ったあとは「借りて住んでいる人」になる点です。

まず家賃です。業者は家賃収入で利益を出すために家を買い取ります。そのため家賃は、一般に周辺の相場より高めに設定されやすくなります。買取価格のほうも、普通に市場で売る場合より低くなることが多いとされています。

次に住める期間です。売却後の賃貸借契約は、期間が来たら更新しない形(定期借家契約)で結ばれることが多くあります。この場合、契約期間が終われば出ていかなければなりません。「ずっと住める」とは限らないということです。

国土交通省は令和8年7月、リースバックを扱う業者向けのガイドラインを定め、同年10月1日から施行しています。背景には、家賃や契約期間、違約金をめぐる相談が多いことがあるとされています。高齢者に強引に家を売らせる「押し買い」が起きていることも挙げられています。

このガイドラインでは、業者が勧誘する際のルールが明確にされました。売買の条件だけでなく、売却後の家賃や契約期間などの条件についても、故意に事実を告げないことは許されません。裏を返せば、そうしたトラブルがそれだけ起きていたということです。

安く売って、高めの家賃を払い続ける。年数が経つほど、受け取ったお金は目減りしていきます。

リバースモーゲージの注意点:金利と家の値段に左右される

リバースモーゲージは家が自分のものとして残る分、安心感があるように見えます。ただ、借入である以上、外の状況に左右されます。

多くの商品は、途中で金利が変わる変動金利です。金利が上がれば、毎月払う利息が増えます。年金が中心の家計では、少しずつ負担が重くなりえます。

また、金融機関は数年ごとに家の価値を評価し直すのが一般的です。地価が下がって評価が落ちると、借りられる上限が下がります。契約によっては、上限を超えた分をまとめて返すよう求められることもあります。

少しずつ借り足していく使い方では、長生きするほど借りた額が積み上がり、家の価値に近づいていきます。家を売っても返しきれなかった分を、相続人が負担する契約もあります。

また、契約にあたって、推定相続人の同意を条件にする商品が少なくありません。家の名義は自分のままでも、家族を巻き込む仕組みだということです。

どちらも「損をしない側」が設計した商品

2つに共通するのは、業者や金融機関が損をしないように作られている点です。

リースバックの業者は、安く買って家賃で回収できるように値段を決めます。リバースモーゲージの金融機関は、家の値下がりや金利の変動に備えて、貸す額を控えめにします。そうしたリスクへの備えの分は、利用する側が負担する形になります。

そのため一般に、どちらも割高になりやすい商品だといえます。

決める前に比べたい案と、見てもらいたいもの

私としては、いずれもあまりおすすめしにくいと感じています。自分なら、まず「普通に家を売って、身の丈に合った賃貸に住み替える」案を考えます。そのうえで、それぞれの方法で手元に残るお金を並べて比べると思います。

国土交通省が令和4年に公表した消費者向けのガイドブックでも、通常の売却や融資などと比べて検討することが大切だとしています。普通に売る場合でも、引き渡しの時期を買い手と調整して、しばらく住み続ける方法があると紹介されています。

もう一つは契約書です。リースバックもリバースモーゲージも、契約によって中身がかなり変わります。家賃の見直しの有無、契約期間、家の評価をし直す頻度、返しきれなかった場合の扱いなどです。

使うかどうかを決める前に、不動産や相続に強い専門家に契約書を見てもらうことをおすすめします。

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