共働きの夫婦にとって、配偶者控除は縁のない制度だと考えている方は多いと思います。妻に一定以上の給与があれば、通常は対象になりません。
ただ、妻が産休や育休に入った年は事情が変わります。その年の妻の給与が大きく減り、夫が配偶者控除や配偶者特別控除を受けられる可能性が出てくるためです。
我が家も、妻が今年2月から産休・育休に入っています。今年は妻を私の扶養に入れて、配偶者控除を受ける予定です。
判定に使うのは「その年」の妻の収入です
配偶者控除は、配偶者の1月から12月までの1年間の所得で判定します。前の年にどれだけ働いていたかは関係ありません。
たとえば2月から産休に入った場合、その年の給与は1月分、2月分と賞与くらいになることが多いはずです。年間で見ると、普段よりかなり少なくなります。
給与や賞与をどの年に数えるかは、原則として「支給された日」で決まります(所得税基本通達36-9)。前の年の12月分の給与が今年1月に支払われていれば、今年の収入に入ります。最終的には、妻の勤務先が年末に出す源泉徴収票の「支払金額」で確かめるのが確実です。
育休が年をまたぐ場合は、職場に復帰した年も同じように確認しておく価値があります。
育児休業給付金や出産手当金は数えません
休業中に受け取るお金の多くは、所得税がかかりません。雇用保険から出る育児休業給付金や、健康保険から出る出産手当金は非課税です。
非課税のお金は、配偶者控除を判定するときの収入にも含めません。休業中にまとまった額を受け取っていても、判定には影響しないということです。
この点は誤解されやすいところです。「給付金をもらっているから扶養には入れない」と考えて、手続きをしないままになっているケースもあり得ます。
令和8年分の目安は給与収入136万円
令和8年分は、税制改正で基準が引き上げられています。妻の収入が給与だけの場合、一般に次のように判定します。
給与収入が136万円以下であれば、夫は配偶者控除を受けられます。136万円を超えても、207万円以下までは配偶者特別控除の対象です。配偶者特別控除は、妻の収入が増えるにつれて控除額が段階的に小さくなる仕組みです。
ネット上には、改正前の数字のままの解説も残っています。何年分の話なのかを確かめてから読む必要があります。
妻に副業の収入や、申告する株の売却益などがあれば、それも合わせて判定します。また、夫の側にも条件があります。夫の所得(≠収入)が1,000万円を超えると、どちらの控除も受けられません。

会社員の夫は年末調整、個人事業主の夫は確定申告
手続きの方法は、夫の働き方によって変わります。
夫が会社員の場合は、勤務先の年末調整で手続きします。年末調整で提出する「配偶者控除等申告書」に、妻のその年の収入の見込み額を書きます。年末調整の時点では妻の源泉徴収票が手元にないことも多く、見込みで記入することになります。見込みと実際の額がずれた場合は、後から訂正できます。
夫が個人事業主の場合は、年末調整がありません。翌年の確定申告で、配偶者控除か配偶者特別控除を入れて申告します。ただし、妻が夫の事業の青色事業専従者(家族従業員として給与を受け、経費に入れている人)になっている場合は対象外です。
年末調整で申告し忘れた場合も、一般に、後から確定申告をすれば取り戻せます。
もう一点、ここでいう「扶養に入れる」は税金の話です。健康保険などの社会保険の扶養とは別の制度で、基準も異なります。育休中の妻は、多くの場合、自分の勤務先の健康保険にそのまま加入しています。税金の扶養に入れたからといって、健康保険の加入先を切り替える必要があるわけではありません。
我が家の場合
妻の今年の収入は、1月・2月の給与と賞与です。育児休業給付金と出産手当金は数えません。私は個人事業主なので、来年の確定申告で配偶者控除を入れる予定です。
ただし、妻の賞与の額によっては、136万円の線を超えるかどうかが際どくなります。超えた場合でも配偶者特別控除は残りますが、控除額は変わります。結局、妻の源泉徴収票が届くまでは確定できないと割り切ることにしています。
