海外の工場に商品を作ってもらい、輸入してネットで売る。いわゆる「輸入OEM」と呼ばれる事業については、税金の面で気をつける点がはっきりしています。中心は期末棚卸(在庫)です。
OEMは「自分のブランドで作ってもらう」商売
OEMは、相手先ブランドによる製造という意味の言葉です。工場に商品を作ってもらい、自分のブランド名で売るやり方です。工場は作るだけで、商品の名義は依頼した側のものになります。
輸入OEMの場合、一般には次のような流れです。海外の卸売サイトで商品を探し、現地の代行業者を通じて工場とやり取りします。ロゴやパッケージを自分仕様にしてもらい、まとまった数を発注します。船便や航空便で日本に運び、ネット通販のモールなどで売ります。
税金の目線では「在庫を抱える商売」
OEMでは、工場に頼む際の最低発注数が決まっていることが多く、海外から運ぶ手間を考えても、まとめて作ってまとめて運ぶのが普通です。そのため、OEMを本格的に始めた年は、年末に残る在庫が一気に増えることが多いです。自分のブランドが入った商品は、売れ残っても他に回しにくいという事情もあります。
在庫は所得の計算に影響します。その年の売上原価は「年初の在庫+その年の仕入-年末の在庫」で計算します。年末の在庫を小さく数えれば、売上原価が大きくなり、その分だけ所得が小さく出ます。結果として、所得の申告もれと同じことになります。
在庫の金額は「単価×数量」では足りない
年末の在庫の金額を、工場に払った単価に数量を掛けて出している方は多いと思います。ただ、税金の計算上はそれでは足りません。
購入した商品の取得価額には、代金のほか、商品を引き取るための運賃、運送保険料、購入手数料、関税など、購入のためにかかった費用を含めるのが原則です。輸入であれば、国際送料、関税、通関手数料、代行業者への手数料、検品代などがこれにあたります。
つまり、年末の在庫は「付随費用込みの単価×数量」で計算します。付随費用をすべてその年の経費や仕入に入れたまま、在庫に配分していないと、在庫が過少になります。送料や関税を商品ごとにどう割り振るかは、数量や重量、金額の割合など、合理的な基準で決めれば足りるのが一般的です。
付随費用には、一部だけ例外があります。検品や整理・選別の費用、販売拠点の間で商品を移すための運賃、特別な時期に売るための長期保管の費用です。これらは合計額が購入代価のおおむね3%以内であれば、取得価額に含めなくてよいとされています。ただし、商品を引き取るための運賃や関税は、この例外に入っていません。金額が小さくても、取得価額に含めるのが原則です。
調査で見られるのは「金額」と「場所」
税務調査で在庫が問題になるのは、一般に金額と場所の2点です。
金額は、いま触れた付随費用の配分もれです。場所は、自宅以外にある在庫の数えもれです。モールの倉庫(AmazonのFBAなど)に預けている在庫、海外の倉庫や代行業者の手元にある在庫、年末の時点で船に乗っていてまだ日本に着いていない商品などが該当します。着いていない商品でも、取引の条件によってはすでに自分のものになっていて、在庫に含める必要がある場合があります。手元にないことは、数えない理由になりません。
私が国税で調査をしていた頃も、この棚卸の計上もれはよくある指摘でした。単価×数量の計算は合っているのに、付随費用が乗っていない。自宅の在庫は数えているのに、預け先の在庫が抜けている。隠そうとしたというより、そういうものだと知らずに処理しているケースが多かったと感じています。
消費税の課税事業者になる前に
売上が伸びると、消費税の課税事業者になる時期が来ます。多くの場合、売上が1,000万円を超えた年の2年後からです。輸入OEMでは、ここでも在庫と輸入が関わります。
一つは、免税から課税に切り替わる年の年初に持っている在庫のうち、免税の期間に仕入れた分について、消費税額を控除できる調整があることです。ここでも在庫の金額が基礎になります。ただし、この調整は簡易課税を選んだ場合には使えません。
もう一つは、輸入のときに税関で納めた消費税(輸入消費税)です。自分の名義で輸入していれば、課税事業者になった後に控除の対象になります。代行業者の名義で通関していると、本人は控除できません。輸入消費税が大きい場合、簡易課税を選ぶかどうかの判断にも影響します。輸入許可通知書の名義は、課税事業者になる前に確かめておきたいところです。
