弥生会計Nextの無料体験プラン(以下、無料版)で記帳した法人の数字をもとに、申告書まで作成することができました。途中で、エージェント型のAI(claude code)に手伝ってもらっています。無料版にはいくつか制限があり、そのままでは申告まで進めません。そこをどう埋めたか、手順と、やってみて感じたことを残しておきます。
無料版でできること、できないこと
無料版でも、日々の記帳はひととおりできます。ただし、決算書の作成と出力はできません。試しに決算書の画面を開いても、肝心の金額部分が「***」で隠れて表示されてしまいます。達人シリーズ(税務申告ソフト)へ決算書データを連携する機能も、無料版では使えません。
一方で、総勘定元帳と仕訳帳は出力できました。数字のもとになる帳簿は手元にある。決算書だけが作れない。そういう状態です。逆に言えば、決算書さえ別の手段で用意できれば、先には進めるということでもあります。
総勘定元帳から決算書のテンプレートを埋める
そこで、出力した総勘定元帳をもとに、達人の取り込み用の決算書テンプレートへ金額を入れる作業を、claude codeに頼みました。元帳の数字を読み取り、テンプレートの該当する欄へ転記してもらう、というイメージです。
ここで一つ注意があります。AIが転記した数字が元帳と合っているかは、人が確かめる必要があります。今回も、出来上がったテンプレートの金額を元帳と突き合わせてから先に進めました。確認したうえで達人に読み込ませ、財務諸表として組み込みます。ここまで来れば、あとは申告書の作成に進めます。
ALL e-Taxで送信する
今回は、いわゆるALL e-Taxで申告しました。申告書に添付する主要な書類(別表・財務諸表・勘定科目内訳明細書など)を、電子添付の紙書類に依らずにすべてをe-Taxにデータとして送る方法です。財務諸表については、もともとPDFのような画像では送れず、XBRLやCSVといったデータ形式で送ることが定められています。達人で組み込んだ財務諸表は、このデータ形式に乗ります。書面を別途郵送する手間がない、という利点があります。最終的に、達人からe-Taxへ問題なく電子送信できました。
元国税職員とICTスキルのこと
元国税というと、退官してから税理士になる人が多いせいか、ICTにあまり強くない、と受け取られがちです。実際、私自身も現職時代のITまわりの力は、民間企業で経理や財務をやっている方と比べると、かなり心もとないものでした。民間で経理をしている妻からも、得意そうには見えない、と言われたことがあります。
それでも今回、人手だけに頼らず申告書を作ることができました。チャット型やエージェント型のAIに、ゴール設定から逆算した相談ができたからだと思っています。手を動かす前の、段取りを考える部分を壁打ちできる。ここが大事なように思いました。AIのスキルそのものより、最初に作業全体をどう設計するかが結果を左右するように思います。
業務設計の参考になった本
AIをどう使うかの前に、業務そのものをどう組み立てるか。この部分については、業務設計の教科書(武内俊介著、技術評論社)が参考になりました。ツールやAIを導入する前に、業務を整理して設計しておく、という考え方の本です。著者は税理士でもあります。弊事務所のようなひとり税理士の小さな事務所でも、最初に仕組み化と業務設計をきちんと決めておくことが肝要だと思いました。
